サブスリーへの道

サブスリーとは

サブスリーとは、周知の如く、フルマラソン42.195kmを3時間を切って完走することです。
2006年4月〜2007年3月のシーズンでフルマラソンを完走したランナーのうち、サブスリー達成者はどのくらいいるかというと、
  男子 約86,000人中 約3,400人(約4.0%)
  女子 約17,500人中 約 180人(約1.0%)
なんです。
これは、世界陸上に出る超エリートランナーや実業団選手、学生選手も含めた数値で、一般の市民ランナーが達成するのに、 どんなに難しいかが分かると思います。

更に、都道府県別でみた場合、サブスリー達成者が一番多い東京でも300余名、20人以下の県が10県もあるのです。
それだけ、サブスリー達成者は少なく、難しいことなのです。
市民ランナーにとっては、夢のようなことですね。

因みに、2時間50分を切る人数はどのくらいかというと、上記サブスリー人数の半分以下までに減ってしまいます。 (男子 約1,650人 女子 約80人)

2011年4月〜2012年3月のシーズンでは、
  男子 約197,000人中 約5,806人(約2.9%)
  女子 約 52,449人中  約 226人(約0.4%)
です。

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達成するためには

しかし、全く手の届かないことではありません。
私も、はじめからサブスリーを目標としてランニングを始めたわけではありません。
はじめは、完走が目標で、サブスリーは夢のまた夢でした。
それが、トレーニングを積み重ね、レースで成績を残し、いつしか、夢が目標になり、達成できたのです。

それでは、サブスリーを達成するには何が必要か。

まず、強い意志が必要です。
先天的に能力(持久力、筋力、心肺機能)のある人や、陸上経験があって、それなりの下地がある人を除き、 陸上素人の一般市民ランナーがサブスリーを達成しようとするならば、何を犠牲にしてでも絶対にサブスリーをするんだ、 という気持ちが必要です。 そうまでしなくても達成できる人、出来た人は、前述の能力ある人なのです。(うらやましいです)

次に、手の届きそうな目標を作り、それを達成するための計画(トレーニング内容と予定)を立て、その計画をしっかり実行することです。 そして結果が出たら、良くても悪くても反省(分析)します。結果には必ず原因があります。立てた計画をちゃんと実行しなかったなんてこともありますね。 分析を行ったら、目標をステップアップして新たな計画を立てるか、達成できなかった目標に対して計画を立てなおすかして進んでいきます。
これは、人生の中で、いろんなことにおいて、やっていることと同じですね。

そして、やはり、努力、です。
一般市民ランナーは、努力するしかないのです。

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フォーム

サブスリーを達成できたのは、フォームを矯正したことが大きかったと思っています。
走ることは誰でもできます。どんな走りでも、ある程度は速く走れてしまいます。
しかし、正しいフォームで走ると、今までと全く違ったランニングの世界が見えてくるのです。

正しいフォームで走ることで、以下の成果が得られます。
  • 一箇所に掛かる負担が軽減するので、故障が減ります。
  • 太い筋肉を使うので、疲労の度合いが小さくなり、楽に長く走れます。
  • エネルギーを効率よく推進力に換えるので、速く走れます。
故障が無ければ、十分なトレーニングを積めるので、走力がアップします。
そして、レースでは、大きくペースダウンすることなく走り切れるので、タイムが上がります。

私自身、まだまだ理想のフォームとはいえないでしょうが、正しいフォームを意識してから一年が経ち、 以前あった膝の痛みは全く無くなり、フルマラソンを走った後でも、階段を下りるのが辛いということも なくなりました。 そして、何よりも、サブスリーを達成できた、という最高の結果を得たのです。

それでは、正しいフォームとは、どんなものなのでしょう。

普段のランニングで気をつけていることをまとめてみました。
  • 背筋を伸ばし、下腹に力を入れてお尻を突き出します。
    (骨盤を前傾させ、スムーズな重心移動が行える姿勢を保ちます。)
  • 肘を引いて、腰を前に出しながら太ももを持ち上げます。
    (肘を引けば肩甲骨が動き、胴体のしなり利用して骨盤が廻って前に出ます。)
  • つま先が外側に開いたり、内側に向いたりせず、まっすぐになるよう着地します。
  • 着地した足がカラダの下にきたとき、地面を後ろに蹴る感じで体重をのせます。
    (地面から戻ってくる反発力が前向きになるようにします。)
  • 着地した側の膝を深く曲げず、腰も落とさないようにします。
    (地面からの反発力を膝や腰で逃がさず、胴体で受けて推進力とします。)
以上のようです。

ポイントは、「スムーズな前進方向への重心移動」にあると思っています。
地面からの衝撃は、大地から貰えるエネルギーだと考えましょう。そのエネルギーを如何に無駄なく推進力として変換できるかを意識しましょう。
肩甲骨を動かして骨盤を廻して足を出すというのは、モデル歩きを連想してみればよいと思います。
腕は、前後に振るのでなく、肘を引く感じです。
腰(骨盤)は廻しますが、肩は前後に廻しません。
更に詳しいことは、いろいろとランニングフォームについて書籍が出ていますので、読まれてみてはと思います。

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ストライドとピッチ

ご周知の通り走法には、ストライド走法とピッチ走法があります。
ストライド走法は筋力を必要とし、ピッチ走法はエネルギーを必要とします。
サブスリーレベルにもなれば、どちらがいいということはないと思います。

一般的に一流ランナーのストライドは、身長の0.85倍(女子は0.9倍)だそうです。
ピッチ数のほうは、1分間に160〜180だそうです。
ピッチ走法の代表的なQちゃんは、200を越えてるそうです。

因みに私のレースペースでのストライドは約139cm(100m72歩)で、身長(170cm)の0.82倍になります。 このストライドだと、42.195kmを30356歩で走ることになります。ベストタイムは2時間52分56秒なので、1分間のピッチ数は約175になります。
2時間50分を切るためには、ストライドは139cmのままで、ピッチ数を179に上げるか、ピッチ数は175のままで、 ストライドを142cmに拡げるかすればよいことになります。 すごく簡単そうに思えちゃいますね。計算上では。

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エネルギー

マラソンは、エネルギーをたくさん使うスポーツです。
どれくらい使うかというと、体重60kgのランナーがサブスリーを達成すると 約2,700kcal にもなります。
これは、通常の生活で一日(24時間)に必要なエネルギーの約1.5倍です。それだけのエネルギーを3時間足らずの間で必要とするのです。

消費カロリー = 体重(kg) × 時間(h) × 運動強度(METS) × 1.05
※運動強度(METS)は、時速(km/h)とほぼ同じ(速度によって±1くらいの違いの)値です。

エネルギーが不足すると、足が止まって、急激にペースダウンしてしまいます。
そうならないためにも、カラダがエネルギーを作り出す仕組みを理解しておくことが重要だと思います。

エネルギー源

カラダを動かすエネルギーの元になるのは、糖質と脂質です。
それぞれから作られるエネルギーは、次のようです。
  糖質 1g当り 4kcal (生体内で水分を含んだ状態では 1〜2kcal)
  脂質 1g当り 9kcal
脂質の方が大きなエネルギーを生みますが、エネルギーへの変換効率は糖質に比べて劣ります。
変換効率のよい糖質ですが、カラダには300〜400gしか蓄えておくことができません。

エネルギー源が不足すると、筋肉を構成するたんぱく質の成分であるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)が 酵素により分解されてグルコース(糖)になり、エネルギー源となります。
しかし、筋肉の組織が破壊されるので、筋肉痛が起きてしまいます。

エネルギーを生み出す仕組み

糖と脂肪酸は血液を通って細胞の中にあるミトコンドリアという組織に運ばれ、クエン酸サイクルという仕組みの中で いくつもの変化を経て、最終的にATP(アデノシン3リン酸)という物質になります。
そのATPが分解してADP(アデノシン2リン酸)に代わるときに発生するエネルギーを使って筋肉を動かしています。

効率よくエネルギーをつくる

マラソンを速く走るには、兎に角、充分なエネルギーが必要です。
そのためには
  • レース前、カラダに少しでも多くの糖質を蓄えます。
  • 脂質のエネルギー変換効率を高めます。
  • BCAAを外部から摂って、筋肉破壊を起させないようにします。
具体的には、カーボローディングとサプリメントです。

効率よくエネルギーをつかう

限られたエネルギーを無駄なく効率よく使うことも大切です。
そのためには、正しいフォームで走る、ということです。

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クエン酸サイクル

クエン酸サイクルとは?

クエン酸サイクルとは、 食事で摂った糖質、カラダに溜まった脂肪、筋肉運動で発生する乳酸などを分解してエネルギーを作り出す 仕組みのことを言います。

食事で摂った糖質(炭水化物)は、消化してグルコースになります。
グルコースは血流に乗って全身に行きわたり、ある程度だけグリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。

グリコーゲンに合成されなかったグルコースは、ビルビン酸になります。

ビルビン酸は酸素を取り込んで、アセチル補酵素A(CoA)になります。

アセチルCoAは、クエン酸サイクル内のオキザロ酢酸と結びついてクエン酸を生成し、クエン酸サイクルが廻ります。

アミノ酸やビタミンの助けを借りて変化を続け、CO2とH2Oを生成して大量のATPというエネルギーをつくります。

クエン酸サイクルがうまく廻っていないと

クエン酸サイクルがうまく廻っていないと、ビルビン酸もアセチルCoAも前に進めなくなり、ビルビン酸は酸素を取り込まずに 乳酸になり、アセチルCoAは脂肪になってしまいます。
こうして、体脂肪が増加し、体も疲れやすくなってしまいます。

クエン酸サイクルをうまく廻すには

クエン酸サイクルを廻すには、サイクルの入り口に当たるクエン酸を摂り、勢いをつければよいのです。

クエン酸サイクルが順調に廻ると

クエン酸サイクルが順調だと、糖質がどんどんエネルギーに変換されるようになります。

クエン酸サイクルが勢いよく廻って、取り込むアセチルCoAが少なくなれば、蓄積されている脂肪が酸化して アセチルCoAになりクエン酸サイクルに送られるようになります。

また、ピルビン酸が少なくなると、乳酸がATPを作りながらピルビン酸に変わっていきます。

従って、体脂肪や筋肉運動で発生する乳酸までも味方につけてエネルギーをどんどん作り出すので、 持久力がアップし、疲労も低減することになります。

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サプリメント

いいタイムを出すためには、効率良くトレーニングを行うことが必要で、そのためには疲労を次の日に持ち越さないことが重要です。 そして、エネルギー生産能力を高めることです。

エネルギーは、炭水化物や脂肪が消化・分解を繰り返して生み出されます。
それには、様々な栄養素、酵素、補酵素などが必要になります。 それらは、食物として外部からカラダに入れたり、カラダの中で合成されてできるものもあります。 しかし、食物から摂るのでは、メニューを考えるのが大変だったり、食べる量も半端でなくなります。 また、カラダの中での合成は、年齢と共にその量が減っていきます。 更に、レースでは、普段以上に、エネルギーが必要とされます。

アスリートとして成果を出すためには、トレーニングと共にサプリメントも重要なことなのです。
特に、私のように若くはないランナーにとって。
必要と思っているサプリメントについてまとめました。

【 鉄 】・・・・・ 糖質・脂質を燃焼させてエネルギーを作り出すには酸素が必要です。
カラダに取り込まれた酸素を細胞に運ぶのは血液中のヘモグロビンで、そのヘモグロビンの重要な構成要素が鉄分です。
鉄分を充分補給してヘモグロビンの量を増やし、酸素を細胞へ運ぶ力を高めます。

【 CoQ10 】・・・・・ CoQ10は、体内で200種類以上の酵素を作るのを助けています。
主な酵素に、「脂肪の燃焼を活発にする酵素」、「ブドウ糖の燃焼を活発にする酵素」、 「たんぱく質を作る酵素」、「免疫力アップの酵素」、「肌の新陳代謝を活発にする酵素」 があります。
CoQ10は、脚の動脈を拡げて、血流を良くするため、CoQ10を摂って、ランニングを行えば、 更に脚への血流が増えるので、効率的な下半身痩せが可能になる、と言われています。
CoQ10は体内で合成されますが、年齢と共にその量は減っていきます。

【 αリポ酸 】・・・・・ 糖質・脂質が消化したブドウ糖・脂肪酸は、細胞のミトコンドリアという 組織の中でエネルギーに変換されますが、αリポ酸は、ブドウ糖・脂肪酸をミトコンドリアまで 積極的に届ける働きがあります。エネルギー源をどんどん運んでくれるわけです。
また、ミトコンドリアの中では、エネルギーを作り出す工程のうち、ブドウ糖を分解する処理を 促進する働きがあります。
食事から摂取できるαリポ酸の量は少なく、体内での生産量も僅かで、更に年齢と共にその量は減っていきます。

【 L-カルニチン 】・・・・・ 糖質・脂質が消化したブドウ糖・脂肪酸は、細胞のミトコンドリアという 組織の中でエネルギーに変換されますが、L-カルニチンの力を借りなければ、ミトコンドリアの細胞膜を 通って中に入ることができません。
L-カルニチンは、体内で合成されますが、年齢と共に、その量は減っていきます。

【 BCAA 】・・・・・ 運動時に、筋肉に蓄えられたグリコーゲンが不足すると、筋肉のタンパク質のアミノ酸が分解されエネルギー源となります。 同時に筋肉の分解・損傷が起こるので、筋疲労・筋肉痛が発生するのです。
運動前・運動時にBCAAを補給すると、それが効率的にエネルギーとして利用されるため、筋肉に蓄えられたグリコーゲンを 温存することができ、筋肉の分解・損傷を抑えられると考えられています。
また、BCAAは、筋肉の合成を促進させる(疲労回復を促進させる)働きもあります。
従って、持久力がアップし、筋肉疲労も低減されるのです。
余談ですが、BCAAには脂肪を燃やす効果、特に腹部の脂肪を燃やす効果もあります。

【 クエン酸 】・・・・・  クエン酸サイクルに勢いをつけるために摂ります。
クエン酸サイクルが勢いよく廻れば、エネルギーがどんどん作られます。
筋肉運動で発生する乳酸も分解されてエネルギー源になります。
クエン酸は、クエン酸サイクル活動により2時間で完全燃焼するので、こまめに摂るのが理想的です。
昼はエネルギー生成に、夜は疲労回復に優先的に働きます。

【 アスタキサンチン 】・・・・・ カラダに取り込んだ酸素のほとんどは、エネルギーをつくるのに、 糖質・脂質を燃やすことに使われますが、約2%は有害な活性酸素に変わってしまいます。 活性酸素は細胞を酸化させ(サビつかせ)、疲労や病気の原因になってしまいます。
ランニングでは、多くのエネルギーを作るために多くの酸素を取り込むので、より多くの活性酸素ができてしまいます。
アスタキサンチンは活性酸素抑える抗酸化力が非常に強く、ビタミンEの1000倍にも及ぶそうです。
また、アスタキサンチンには、脂肪を燃焼し血糖値を抑える働きもあります。

実際に摂っているサプリメントは、こちらをご覧ください。 →  サプリメント一覧表

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有酸素運動と無酸素運動

有酸素運動では、クエン酸回路により、体内の糖質や脂肪が酸素を取り込んで燃焼してエネルギーを発生させます。
これに対して、無酸素運動は、酸素を必要とせず、筋肉の収縮だけでエネルギーを発生させます。

ジョギングなど、ゆっくり走っているときは有酸素運動を行っており、全速力で走っているときは、無酸素運動を行っています。 当然、無酸素運動は、長続きしません。

有酸素運動(ジョグ程度)から運動強度(ペース)を上げていき、ある域に達すると、エネルギーを発生するのに必要な酸素の摂取量が不足して 血液中に乳酸が増加し続け、心拍数、呼吸数も急にあがり、長い時間、運動を続けられなくなります。
こうようになる境目を無酸素性作業閾値 (Anaerobics Threshold: AT) といいます。

ATのペースは、全速力で走ったときのペースに対して、とくに運動していない一般の人で50〜60%、 トレーニングしているランナーなら70%以上、一流選手になると90%前後にもなるそうです。

マラソンで好タイムを出すには、ATペースの向上が最も重要な課題となってくるのです。

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スピードと持久力

マラソンで好タイムを出すには、限りなくATに近いペースで走ることが必要になります。

100mのタイムがいい人が、マラソンのタイムもいいとは限りません。 全速力で走るスピードが100でATが70%のランナーと、全速力のスピードが90でATが80%のランナーでは、マラソンのタイムは、 後者のランナーの方が良いことになります。(他の条件を全く見ない場合ですが)

トレーニングによって、絶対スピード(全速力)を上げることができても、それだけではマラソンのタイムには、あまり反映されません。 ATが上がることによって結果が付いてきます。しかし、ATの向上にも限界があります。全速力に対して100%以上には絶対なりえないという。 従って、マラソンで、サブスリー以上のタイムを狙うには、スピードと持久力を両方養う必要があります。

また、過去のレースにおけるペース展開をみた場合、後半に失速の幅が大きい場合は持久力、ほぼイーブンで走れているならスピードの 養成が課題になります。

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トレーニング内容

マラソンのトレーニングには、大きく以下の3つに分類されます。

(1) 基礎持久力の養成
(2) スピード持久力の養成
(3) スピードの養成

基礎持久力とは、一般的にスタミナと解釈されている部分で、有酸素運動を長く続ける能力のことをいいます。
ここで、ゆっくり長く走る能力と間違ってはいけません。
自分の解釈としては、基礎持久力 = 有酸素運動系回路の耐久性 です。
前述した通り、有酸素運動は、体内の糖や脂肪を酸素で燃やして作ったエネルギーでカラダを動かします。 そのエネルギー生産の効率と耐久性を高めるのが目的なのです。ゆっくり長く走るというのは、その目的を達成するための方法なのです。
先天的に持っている絶対スピード(全速力)にもよりますが、サブ3.5までは、この基礎持久力の養成だけで充分だと思います。

次に、スピード持久力ですが、その言葉からは、スピードを出して長く走る能力、と思いますよね。でも、走っていれば、ゆっくりでもスピードはゼロでなく 出ています。長く走るというのは、基礎持久力にもあります。それでは、スピード持久力とは、 というと、ATペースの高さ、ではないでしょうか。長く走れないペースは、ATより速いからです。 スピード持久力の養成 = ATペースの向上 です。

《 LSD 》 (Long Slow Distance)

トレーニングの基本です。
ゆっくり長く走るのがLSDですが、 これは、長い時間、弱い負荷を継続して掛けるということに意味があります。 ですから、長い距離を走るのでも、信号で立ち止まったりするのは効果が薄れることになります。走らないよりは、全然マシですよ。

LSDをやることによって、毛細血管が発達し、エネルギーを作り出すのに必要な酸素を細胞に運ぶ能力が高まり、スタミナがアップします。
また、弱い負荷の運動では、糖質より脂肪を優先して燃やし、エネルギーをつくるため、ウェイトコントロール的にも重要なトレーニングです。

それでは、ゆっくり(弱い負荷)とは、どれくらいかというと、自分は、キロ6分〜6分20秒程度で走っています。

もう少し論理的に ”ゆっくり” を説明すると、最大心拍数の65〜70%になるようなペースが適当だといわれています。
最大心拍数自体を知らない方がほとんどでしょう。計ることも大変かと思います。この最大心拍数は、いくつかの算出式があります。
  • 220 − 年齢 (一般的な成人)
  • 210 − 年齢 (アスリート)
  • 204 − 0.69 × [年齢]
  • 214 − 0.8 × [年齢]
  • 1.1 × [安静心拍数(HRrest)]+115
これらの式で算出した最大心拍数からLSDに最適な心拍数が分かれば、心拍計測機能の付いたトレッドミルで走ってみて、 どのくらいのペースになるのか確認してみると良いでしょう。

時間は、2〜3時間が適当で、それより短くても長くても、効率の良いトレーニングとは言えません。

《 JOG 》

ポイント練習のつなぎとして、脚力を落とさないことを目的としています。
距離は、10〜15kmくらいで、ペースはキロ5分20秒前後にしています。
一番楽に走れるペースなんです。
平日の帰宅後、週2日くらいは JOGです。

《 ロング走 》

マラソントレーニングの核となるのがロング走です。 ある程度の強度を保って長い距離を走るのがロング走です。 スピード持久力の養成(ATのペース向上)が目的です。
ある程度の強度とは、目標タイムのペースの80〜90%くらいです。サブスリー達成が目標ならば、キロ4分15秒ペースなので、 それを0.8と0.9で割った、5分19秒〜4分43秒がロング走の適正ペース範囲になります。
長い距離とは、30〜40kmで、これより長くても短くても効率的なトレーニングとはなりません。
ロング走の取り組みは、LSDによって基礎持久力がついた上で行います。まず、30kmから余裕のあるペースで始めます。 週に1回はロング走を行い、距離とペースの水準を上げていきます。
一生懸命頑張って走るのでなく、何度も反復練習しながら余裕を持って水準を上げていくのがポイントです。

《 ミドル走 》

ロング走をある程度こなせるようになってから行うのがミドル走です。 ミドル(中間)とは、ロング走と、この次に説明するハイペース走との中間くらいのペースということです。 ロング走に対してキロ15秒〜30秒程速いペースで、距離は15km〜20kmを目安にします。
ミドル走もロング走と共にスピード持久力の養成(ATのペース向上)が目的なので、頑張って走るのでなく、 イーブンペースで余裕をもって走ることが基本です。

《 ハイペース走 》

筋持久力(筋肉のスピードに対する耐性)の向上を目的とします。 心肺的な刺激を入れると同時に速いペースを維持することで筋持久力の向上を促します。
距離は5km〜10kmで、イーブンで走りきれる限界のペースで行います。タイムトライアルも同等の目的をもったトレーニングですが、 あくまでもイーブンで走りきることが基本です。

《 インターバル走 》

スピードの養成が目的です。 インターバル走とは、 速いペース走をジョグでつないで繰り返すトレーニング方法です。 800m〜1600mをイーブンで走りきったときに息がハアハアするくらいのペースで心肺機能を追い込みます。 つなぎのジョグは、息がだいたい落ち着くくらい(だいたい速く走ったのと同じくらい)の時間をとります。 1回のインターバルトレーニングで走るトータルの距離は、4000m〜8000mが効果的といわれています。 このトレーニングを週1回行います。

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トレーニング計画

サブ4レベルが目標であれば、トレーニングはLSDとジョグだけで、レース前に数回30km走を行っておけば十分です。 LSDは、数回行っておけばいいわけではありませんよ。 週1日は必ず、そして、2日くらいはジョグでつないでおくということです。

サブ3.5からサブ3が目標として考えられるくらいのところまででは、LSDでしっかり土台を築き上げた上で、 ロング走やミドル走へと段階的にトレーニングメニューを追加していけばよいと思います。

サブ3レベルか、それ以上を目指す場合には、すべてのトレーニングメニューを複合的に組み合わせて、 各トレーニングの水準を上げていくことになります。

自分の場合(ベストタイム2時間52分56秒)、2時間50分切りを目指しているわけですが、 11月の目標レースに向けて、まず、週間計画を立て、7月から4ヶ月掛けて水準を上げていく予定でトレーニングしています。

週間計画では、週休2日(週2日は休足日)として、疲労回復と筋肉再生に時間を与えています。 (40代後半になると、ケアが最も重要かもしれません。)

週間トレーニング内容は、
  (土)ロング走
  (日)LSD
  (平日)1回 インターバル走、またはハイペース走 (トラックまたは皇居)
  (平日)1回 ジョグ、またはミドル走 (帰宅ラン)
  (平日)1回 ジョグ (帰宅ラン)
を基本としています。

LSDは、キロ6分〜6分20秒で20〜25km、2時間〜2時間30分。
ロング走は、7月に、30kmから始めて、8月35km、9月中旬には40kmまで距離を伸ばし、 ペースの水準も徐々に上げていきます。

レース1ヶ月前になったら30km走までとし、1週間前に20kmを走って、あとは軽いジョグだけにしています。

目標のレースが終わったあと、フルマラソンのシーズン中、もう1、2回のレースを計画している場合、 またベストを目指すのであれば、十分なケアが必要で、半月から1ヶ月は、トレーニングの強度を下げています。 その後は、次のレース日から逆算して、トレーニング計画を実施しています。

どのレベルが目標であっても、基本は基礎持久力という土台の上で、スピード持久力をつけていき、 スピード持久力の更なる向上のために絶対スピードを上げていくということです。
そのために重要なのは、無理にトレーニングメニューを追加していったり、水準を上げていくのでなく、 余裕を持ちながらトレーニングを進めていくということです。
無理なトレーニングは効果が薄いだけでなく、故障の原因にもなりかねませんので、注意が必要です。

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仕上げ・調整

レースで最高のパフォーマンスを発揮するため、休養を多く取り入れ、 疲労を抜いて、レースに向けたカラダ作りをするのが仕上げ・調整です。

数ヶ月に渡って走り込んできて、トレーニングの水準もかなり上がってきており、絶対スピードやATペースの向上も実感していて、 調子が良い状態だと思ってしまいます。しかし、トレーニングでは長い距離(長くても40km)をレースペースより遅く走るか、 短い距離をレースペース同等に走るかで、42.195kmという距離をレースペースで走ることはしません。 レースでは、トレーニングとまったく別次元の走りが必要とされるのです。
また、トレーニングで数ヶ月に渡り、毎週毎週100km程度走っているので、疲れが溜まっていないわけはありません。

レースのどのくらい前から、どれだけ練習量を減らせば疲労が抜けるのか、かなり個人差があるでしょう。 疲労が抜けて調子がピークに達した後は、調子が低下に転じてしまいます。 レース当日、絶好調に持っていくことピーキングといいます。
ピークを合わせるには、経験を積むしかありません。

自分の場合、レース4週前から、若干ですが練習量(距離)を減らし始めます。ロング走を40kmから35〜30kmにする(週間走行距離は5〜10km減る)、 くらいな程度ですが。
レース直前の1週間は、疲労を抜くことを最優先にカラダを動かします。 練習量はかなり落とすことになりますが、カラダが休む体勢になっては元も子もありません。練習量(距離)的には、普段の半分かそれ以下、質(ペース・心肺)的には、 負荷のかからない程度にしておきます。
そして、仕上げ最終ポイントの調整として、レース2〜3日前に刺激走を行います。 短い距離(2〜3km)をレースペースより30秒くらい速く走ります。これで、レースモードへのスイッチを入れます。

この最も重要な1週間のトレーニング内容は、次の通りです。
(あくまでも自分の場合です)
  (土)20km快適走  ※快適走 = 気持ちよく走れるペース
  (日)15kmミドル走
  (月)完全休養
  (火)10kmジョグ
  (水)10km快適走
  (木)完全休養
  (金)2km刺激走 + 1kmジョグ
  (土)完全休養
  (日)レース

仕上げ・調整期間中に疲労を抜くことと共に重要なのがストレッチです。
普段以上に時間を掛けてストレッチして、筋肉を良い状態に持っていきます。

また、練習量を落とした分、筋力の低下が気になるようなら、軽く筋トレを行うこともあります。

練習量を落とすのは、とても不安なことですが、万全の体勢でベストタイムを目指すのなら、勇気を持って積極的に休みましょう。

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カーボローディング

レースに向けた最終調整として、カーボローディングを行います。
カーボとは炭水化物のことで、これを食事で多く摂ることにより、エネルギー源であるグリコーゲンをたくさん蓄えます。

やり方にはいろいろありますが、自分の場合、カーボローディングだけに頼らず、カーボ系のサプリメントや、 脂肪をエネルギー源として効率よく燃やす為のサプリメントをレース前、またはレース中に摂るので、簡単に次のようにやっています。
それは、レース3日前から前日まで、炭水化物中心の食事にして、炭水化物を多めに摂るということだけです。 この期間、おかずはあまり食べず、その分、余計に炭水化物を食べます。 炭水化物といえば、米、パスタ、うどん、パンなどです。この3日間、半分以上はパスタで、お昼はパスタとおにぎり、というのが定番になっています。
注意しなければならないのは、必要以上に食べ過ぎてしまうことです。パスタの食べ放題とか要注意です。食べ過ぎておなかを壊したら台無しです。(経験者は語る)

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目標タイム設定

目標タイムは、持久係数から割り出しています。
フルマラソンのベストタイム ÷ 10kmのベストタイム が持久係数です。
従って、目標タイム(フルマラソンのベストタイム)は、
10kmのベストタイムに持久係数を掛けたものになります。

この持久係数は、4.55〜4.7が妥当な値です。数値が低い程、スタミナ系ランナーであり、スピード養成が課題となり、 逆に数値が高い程、スピード系ランナーであり、スタミナ養成が課題となります。

なぜ、フルの距離に近いハーフと比較するのでなく10kmなのかというと、ハーフでは、コースや気象条件など多くの要因があるからです。 しかし、トラック10000mのタイムを持っている一般市民ランナーは、そう多くないでしょう。 また、距離の近いハーフで比較するほうが、誤差が少ないかもしれません。
そこで、ハーフと比較した場合の係数はというと、 2.1〜2.15くらいになります。

これらの係数を使って、10kmやハーフのベストタイムからフルの目標タイムを導き出せます。 ベストタイムだからといって、大昔のものを持ち出してきても仕方ありません。 走力や体調を考えると、直近のベストタイムで見るべきでしょう。係数は、過去のフルとハーフや10kmのレースから計算した値を 使ってみてもよいでしょう。

レースの結果、係数を出してみて、10kmに対して4.55〜4.7、ハーフに対して2.1〜2.15の範囲に入らなかった場合は、 フルのレースで力を出し切れなかったか、10kmやハーフでもっと良いタイムを出せる力がある、ということがいえます。
また、これから、どのようなトレーニングに力を入れていけば良いのかということも分かってきます。

レース当日、行き当たりばったり、気分だけで走っていくのでなく、事前に持久係数を使って目標タイムを設定し、 この次に説明するレース展開計画をしっかり立てて、レースに臨むことが、自己ベスト更新につながると思います。

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レース展開計画

目標タイムに対してどう走るか。どのようなペース配分にしたらよいのか。よく前半は抑えてとか聞きますが、どのくらい抑えればよいのか。 なかなか具体的にペースを決めるのは難しい問題です。
このことについて、参考になることをネットで見つけたので、概略をご紹介します。

「スプリットタイムからみた市民マラソンレースの一考察」という東京工芸大学工学部基礎教育研究センター 山本正彦助手・木村瑞生助教授のリポートです。
2003年荒川市民マラソン(ほぼフラットなコース)における完走者、男子10,570名、女子 1,736名を対象ランナーに、 ゴールタイムを15分毎に区分し、10km毎のスプリットタイムと最初の10kmに対する低下率を求めて、 マラソンのレース展開がどうなっているかについて分析しています。
対象がトップアスリートでなく、市民ランナーなのが参考になる点です。

下表は、男子の集計結果の一部です。


上位の記録のランナーほどスプリットタイムの低下率が低いことが分かります。 このことから理想のレース展開は、イーブンペースだとまとめています。

やっぱりイーブンペースが一番なんだ、と思いますが、それを出来ないのがマラソンです。
イーブンで走りきれない理由には、まず、目標タイム設定に問題があるでしょう。 それ以前に42.195kmをゆっくりでもイーブンペースで走り切る基礎持久力が付いていないというのは論外ですが。

また、過去の自分のレースのペース展開を分析することも重要です。そのため、1km毎(最低でも5km毎)のラップを取っておき、 グラフを作ってみることをお勧めします。

それでは、レース展開計画をどのように立てているか、という自分の場合ですが。
30kmまではイーブンで通します。それ以降は、2km毎なだらかにペースが落ちていくことを想定しますが、 最大でも(40-42kmで)キロ30秒以内のペースダウンに抑えてペース設定しています。
この設定だと、スタートからの5kmに対して、ラスト5kmのラップ低下率は、94%くらいになります。 余力があれば、更に最後までイーブンで通せ、好記録が期待できます。悪くても、過去のレースの経験からして、 よっぽど気象条件やコース条件が悪くない限り、大崩れはしないので、つぶれることはないと思っています。

レース展開計画は、目標タイムあってのものなので、まずは目標タイムをしっかり見極めることが大切です。

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